防水と雨仕舞いの違い
【解説】雨仕舞(あまじまい)と防水の違い
外壁塗装や屋根修理でよく聞く「防水」と「雨仕舞」。似ている言葉ですが、その役割は根本的に異なります。この違いを知ることで、住まいを長持ちさせる本当のメンテナンスが見えてきます。
1. 「防水」は素材の力で防ぐ(ブロック)
防水は、水を通さない「材料」の性能に頼って浸水を防ぐ方法です。
• 具体例: 外壁の塗膜、ベランダのFRP防水、屋根の下の防水シート(ルーフィング)。
• 役割: 表面に膜を張り、隙間なく密閉することで水を遮断します。
• 弱点: 材料が経年劣化でひび割れたり、剥がれたりすると、そこから一気に浸水します。
2. 「雨仕舞」は設計の力で流す(コントロール)
雨仕舞は、建物の構造や部材の重なりを利用して、水をスムーズに屋外へ排出させる設計・技術のことです。
• 具体例: 屋根の勾配、窓の上の「ひさし」、外壁の接合部にある「水切り金具」。
• 役割: 重力を利用して、水がたまらない、中に入らない「道筋」を作ります。
• 弱点: ゴミの詰まりや金具の変形で流れが変わると、想定外の場所から雨漏りします。
3. なぜ「雨仕舞」が重要なのか?
日本の住宅において、防水だけで雨を完璧に防ぐのは困難です。塗料やシーリングはいつか必ず劣化するからです。
もし雨仕舞の設計が悪いと、防水膜が破れた瞬間に水が建物の内部へ侵入し、柱を腐らせてしまいます。
逆に雨仕舞がしっかりしていれば、たとえ表面の塗装が劣化しても、水が自然に外へ排出されるため、致命的なダメージを防ぐことができるのです。
まとめ:長持ちする家は「雨の逃がし方」が上手い
外壁塗装を検討する際は、塗料のグレード(防水性能)だけでなく、「水切り金具に不具合はないか」「雨の通り道が塞がっていないか」といった雨仕舞の視点で点検してくれる業者を選ぶことが、家を長持ちさせる秘訣です。






